TOP 経歴
                         社団法人 江南青年会議所
                       2005年度理事長 幅 章郎

【はじめに】

戦後の復興期を経て1956年の経済白書で「もはや戦後ではない」と宣言されて10年。年平均11%を越える経済成長を遂げ、世界の経済大国にのし上がろうとしていた1966年、江南青年会議所は全国で312番目のLOMとして誕生しました。
「願わくば、江南青年会議所が一粒宛(ひとつぶあて)の松実(まつみ)を、自らの信条に育て上げて、揃って王者の風格を備え、遠からずめぐり来る、21世紀には、燦然(さんぜん)たる光芒(こうぼう)を放って人類の先頭に立たれんことを」と設立に当たり当時の滝一男市長より頂いたお言葉をまさに実践しながら、先輩諸兄が営々と歴史を重ねてこられた(社)江南青年会議所の伝統を再認識しながら、40周年と言う節目の2005年度の活動に邁進してまいります。

【人間力の大きな環】
昨今の厳しい経済環境の中にあっても(社)江南青年会議所は先輩諸兄のたゆまぬ努力と歴代・拡大委員会の奮闘のお蔭で10年前と比べてもさほどメンバー数は減少しておらず冠たる位置を得ています。(社)江南青年会議所の強みは会員の拡大に止まらず、40年にわたり受け継がれた伝統を守る知力と単年度制の意義をくみ取った創造的事業の展開という活力が織りなした人間力そのものでもあると思います。また、公益法人として「明るい豊かなまちづくり」を目指し、1月の成人の集い、江南の風物詩となった江南市民花火大会、10周年を迎えたまちづくり江南市民会議の活動などに代表される社会開発運動に積極的に関わり、行政、企業、市民、市民団体の皆さんを巻き込みながらその環を大きく拡げていったことも(社)江南青年会議所の人間力の源となっています。今日、江南市の政・財界において中核的な役割を担われている先輩諸兄との環の拡がりは我々現役メンバーの大いなる刺激となっています。
そのような恵まれた環境は与えられたものではなく、先輩諸兄が営々と築かれた努力の結果であり、我々現役メンバーが引き継いでいくべき至宝であると思います。「青年の最大の学び舎」であるJCの人間力の環をさらに実りある大きな環へと拡げていきます。

【地域社会のサーバントリーダーとして】
憲法が施行されて60年余り。昨今、憲法改正問題が重要な政治課題となっています。その議論の中で「公共」と言う言葉がキーワードとして取り上げられています。JCにおいては2000年代運動指針や2002年度から始まった新JC宣言において「個と公の調和」と言う考え方をいち早く提唱し、取り組みを始めています。一人ひとりが他人を思いやり、相互に尊重し合える人間力あふれる社会の実現。先ずは、家族は一番身近な「公共」、地域社会はみんなで支える「公共」そんな意識を我々大人が持つべきであると思います。
未来の地域社会を担う子どもたちの教育環境をめぐる変化も見逃してはなりません。
憲法改正問題と軌を一にして議論される教育基本法の改正論議では「現代社会は権利と義務、個と公のバランスを欠き、倫理観やマナーが軽視されている」と指摘され「子どもはひ弱になり、規範意識や学ぶ意欲を低下させている」と強い危機感が表明されています。子どもたちの家庭における「公共」教育また、地域社会に生きる一人の大人として、地域社会における子どもたちの「公共」教育にも関心を持っていくべきだと思います。

【入会すると家業が発展するJC】
日本JCの会員数は1993年度の67,000人余りのピーク時から43,000人余りへと大きく減少しています。現在では景気は回復基調とは言われるもののメンバーの大半を占める中小企業には厳しい経済環境を如実に物語っています。
そのような環境の中、2002年度日本JCの松本秀作会頭は「JCにおけるビジネス元年」との標語を掲げ活動されました。サマーコンファレンスにおいても経営開発セミナーは立見の出る盛況ぶりです。現役メンバー、特に若いメンバーのJCに求めるものが今日大きく変わってきているように思います。
経営の神様といわれた松下幸之助は「企業は社会の公器」と言われました。「従業員は、自分の家から連れてきたものではない。自分の懐から出せるものでもない。これは天下のものである。ヒトだけではない。モノもカネも天からの預かりものだ。天下のヒト、モノ、カネを預かって商売をする。実質的には天下のものではないか」との信条です。
2000年代運動指針の中に「社会起業家」と言うキーワードがあります。自らの企業の社会性を常に意識し、社会に積極的にかかわっていきながら企業も発展させていく人間力あふれる「社会起業家」像はこの信条とも合致する我々が目指すべきjaycee像であると考えます。

【ビジョンの発信】
公益法人の運営のあり方や指導監督のあり方が社会的に厳しく問われるようになり2003年「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」「公益法人会計基準検討会報告書」が相次いで取りまとめられました。そうした背景を踏まえ、我々(社)江南青年会議所の活動の礎となる定款・諸規則等をじっくりと腰をすえ見直してまいります。現役メンバーのJCへ寄せる思いも大きく変化してきている今日、改めてJCの存在意義を全メンバーと共に議論をしていきたいと思います。
平成の大合併時代と言われる今次の市町村合併進行の中、さまざまな議論を経て、2004年3月末を以って2市2町(江南市、岩倉市、大口町、扶桑町)による合併検討協議会は解散されました。改めて江南市のオンリーワンとは何かを考えてみなくてはなりません。そうした、中・長期的なまちづくりの課題に対しても積極的な議論をしていくべきだと考えます。NPOやNGOに代表される市民団体の多様化の中で、我々JCに期待される役割は地域社会における行政・企業・市民・市民団体相互の有機的なコラボレーションの手助けをしていくことであると思います。故郷(ふるさと)・江南の次代のまちづくりの担い手との自負をもって、我々が進むべきJC運動の方向性を議論し発信してまいります。

【愛・地球博へのかかわり】
愛知ブロック協議会が誘致段階から積極的に関わってきた日本国際博覧会、愛・地球博が2005年3月25日から9月25日の間、名古屋東部丘陵にて「自然の叡智」をテーマに、いよいよ開催されます。日本JCは7月12日から15日間「モリゾー・キッコロメッセ」にて事業を展開します。愛知ブロック協議会・会員会議所メンバーとしてこの国家的イベントを国家ビジョン、地球ビジョンを考える絶好の機会として捉え積極的に参画して行きたいと思います。

【おわりに〜40周年に寄せて〜】
40年にわたり先輩諸兄が築いてこられた(社)江南青年会議所の伝統は、亭々(ていてい)として山頂の巨岩にどっしりと根を張り、天日を呼び、風雪にあらがってそそり立つ老松(おいまつ)がごとき威風堂々とした佇(たたづ)まいを今日故郷(ふるさと)・江南に根付かせています。我々、日本人の心の原風景は幼い頃屋根に登って眺めたふるさとの山河であると言われます。今日その原風景は現実の風景の変化以上に、先の見えない変化の速さとこれまでの経験則では測りきれない不安にさいなまれ、陽炎(かげろう)のごとき心象となってしまっているように見えます。
「JCしかなかった時代からJCもある時代へ」改めて我々メンバー一人ひとりが地域社会の中でのJCの存在意義、メンバー個々にとってのJCの存在意義を見つめ直し、(社)江南青年会議所の人間力の環の拡大へ、さらにはその人間力を次代の故郷(ふるさと)・江南のまちづくりへと挑戦と創造の心をもって積極的に行動してまいります。

所信
社団法人 江南青年会議所